不動産投資家にとって、もはやカナダを見過ごせない理由とは

カナダの成長見通しと規律ある不動産市場が、不動産へのアロケーションを拡大しつつある機関投資家にとって、ポートフォリオを分散し、一貫性のある安定したリターンを実現する機会をもたらすと私たちは考えています。

カナダの不動産市場:世界的に不安定な局面での分散投資先

投資家が今日の不透明な環境下で利回りと安定性を追求する中で、世界で7番目に大きい商業不動産市場であるカナダ1は、十分な投資機会になると期待される一方で、その機会は適切に評価されていないと思われます。カナダのプライベート不動産はそのユニークな特長を背景に、安定した収益と魅力的なリスク調節後リターンを提供するだけでなく、米国、アジア、欧州その他の市場に投資する不動産ポートフォリオを補完する役割を果たしてきました。

なぜカナダに投資するのか?

カナダの不動産市場について詳しく見ていく前に、絶えず変化しているカナダ自身の特長を理解しておくことが重要です。

テクノロジーの世界的リーダーとして名声が高まりつつある

カナダは豊富な天然資源に恵まれているものの、過去10年間にわたりコモディティ価格の低迷が続いたため、強力な「知識経済」の必要性が浮き彫りとなりました。そのためカナダ政府は、知識の自由な流れを可能にし、情報通信技術(ICT)への投資を支援し、起業を奨励する政策や対策の実行に注力してきました。その結果、2015年以降の情報通信技術セクターの年平均成長率は4.2%に達し、カナダ経済全体の成長率である0.7%を上回っています。

情報通信技術セクターのGDP
(2012年の為替レートを基準

This chart shows the growth of the information and technology sector from 2015 to 2020. In 2015, the sector contributed to $78.8 billion to Canadian GDP, whereas in 2020, it grew to $96.5 billion.

出所:"Gross domestic product at basic prices, by industry, annual average"、カナダ統計局、2021年11月25日

現在、情報通信技術セクターは経済成長、雇用の創出、およびイノベーションを牽引する要因となっています。事業の拡大を検討しているスタートアップやテック企業がカナダに引きつけられる理由は以下のとおりです。

  • 豊富な人材プール:カナダは、国内各地でテクノロジー分野の高度なスキルを持った人材プールを提供しています。北米のテック市場上位50都市のランキングに、カナダからはトロント(第3位)、モントリオール(第10位)、オタワ(第21位)、カルガリー(第31位)、エドモントン(第39位)の5都市が入っています2
  • 現地の安定した大卒者プール:カナダには世界トップレベルの大学が多く存在します。2015年から2019年までの間、テクノロジー専攻の大卒者の伸び率は、トロント(第1位)、モントリオール(第3位)およびバンクーバー(第4位)が北米の上位でした2
  • 世界中の熟練労働者を引きつける能力:カナダは移民や外国人労働者の受け入れに積極的な政策を取っており、継続的に世界中から最も優秀な労働者を引きつけています。カナダ政府は今後3年間で120万人の移民を受け入れる計画です。
  • 営業コストの低さ:オフィス賃料や従業員の賃金に基づいて選ばれる、北米で最も営業コストが低いテック市場のランキングに、2020年末時点でモントリオール、バンクーバー、トロント、エドモントン、オタワ、カルガリーというカナダの主要6都市が入りました2
  • 生活の質の高さ:カナダは、冒険的要素、機敏さ、文化的影響力、起業家精神、文化・歴史的遺産、発動力、ビジネスの開放度、政治・経済的影響力、社会的な目的、そして生活の質という10個の特性に基づくUSニュース誌の2021年の「世界最高の国」レポートで、第1位に輝きました3。これらの特性は、高度なスキルを持つ移民や企業による投資を引きつける要因となっています。

パンデミックの結果、世界中でテクノロジー・ソリューションを採用する動きが加速し、デジタル・インフラへの投資が拡大することが予想されます。カナダは多くの魅力的な特性を有していることから、テクノロジー業界の世界的リーダーに君臨するのに有利な立場にあると言えるでしょう。

ESGインテグレーションにおける世界的リーダー

またカナダは環境・社会・ガバナンス(ESG)投資の世界的リーダーとして急速に台頭しつつあります。カナダのサステナブル投資資産は過去2年間で48%拡大しました4。これは世界のどの地域よりも高い数値です。現に、今やカナダにおけるサステナブル投資資産の割合は、欧州、オーストララシア(Australasia)、米国、日本を上回っています。カナダのサステナブル投資および責任投資市場の成長を牽引する要因としては、消費者や投資家からの需要、規制や政策の策定、および環境や社会に関する法律の制定などが挙げられます。

運用資産全体に占めるサステナブル投資資産の割合(2014年~2020年)

This chart shows the growth of sustainable investing assets in Canada, Europe, Australasia, the United States, and Japan from 2014 to 2020. Canada has seen the largest increase in sustainable assets relative to total managed assets in this time period.

出所:「グローバル・サステナブル・インベストメント・レビュー2020」、世界持続可能投資連合(GSIA)、2021年

カナダの不動産がもたらしうるメリットとは

不動産需要を支えるのは経済成長であるため、絶えず変化しているカナダ経済の牽引要因を理解しておくことが重要です。以下、カナダの非上場商業不動産セクターに特有の特徴について詳しく見ていきましょう。

 

インカムゲインとキャピタルゲインの安定した実績

安定したリスク調整後リターンの獲得機会を見出すことがますます困難になりつつある中で、カナダの非上場不動産は、魅力的なインカムゲインとキャピタルゲインを提供してきた実績があります。過去10年間にカナダの不動産が投資家にもたらした年率リターンは8.3%にのぼり、トータルリターンの50%超をインカムゲインが占めています5

カナダ

1 年間

3年間

5年間

10年間

インカム
ゲイン

3.52%

3.75%

3.96%

4.39%

キャピタル
ゲイン

7.52%

3.08%

3.56%

3.76%

トータル
リターン

11.26%

6.93%

7.63%

8.29%

出所:MSCI/REALPAC Canada Quarterly Property Index (unfrozen),、手数料控除前、2021年第3四半期現在。指数に直接投資することはできません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

 

ポートフォリオの分散がもたらしてきたメリット

カナダの他のG7諸国との相関は、-0.3(ドイツ)~0.8(フランス)となっています6。このことは、カナダの不動産に投資を振り向けることにより、世界の他の不動産市場に投資するポートフォリオの全体的なボラティリティを抑えられることを示唆しています。

トータルリターンの相関表

This chart shows the correlation between the Canadian property index and the indices of France, Germany, Italy, Japan, the United States, the United Kingdom, and globally.

出所:MSCI Annual Property Index (unfrozen)、2020年第4四半期現在。カナダはMSCI/REALPAC Canada Annual Property Index (unfrozen)、フランスはMSCI France Annual Property Index (unfrozen)、ドイツはMSCI Germany Annual Property Index (unfrozen)を使用。日本はMSCI Japan Annual Property Index (unfrozen)、米国はMSCI U.S. Annual Property Index (unfrozen)、英国はMSCI UK Annual Property Index (unfrozen)のデータを使用。グローバルのデータはMSCI Global Annual Property Index (unfrozen)を使用。イタリアのデータは18年間の実績。相関は現地通貨建てのリターンに基づいており、そのため為替ヘッジ後のリターンを表しています。

 

規律ある投資環境

カナダのプライベート不動産市場で主流を占めるのは、豊富な自己資本を有する年金基金や、生命保険会社、公社、投資信託といった、大規模で定評のある機関投資家です。これらの投資家は規律に基づいて運用を行い、投資期間が長いことが特徴です。こうした機関投資家は、市場の下落に対しても落ち着いて対処でき、市場のサイクル全体を通じてポジションを維持し、投機を避ける傾向があるため、市場が不透明な局面で市場を落ち着かせる役割を果たしてきました。現に、2001年以降におけるカナダの非上場不動産のリターンのボラティリティは、年率5.6%という比較的低い水準に留まっています7

20年間の年率トータルリターン
(2001年第3四半期~2021年第3四半期)
平均 ボラティリティ 最低 最高
不動産への直接投資 9.0% 5.6% -3.7% 18.3%
社債 5.7% 3.9% -1.1% 15.3%
上場不動産 13.9% 19.4% -38.3% 55.3%
上場株式 8.5% 16.5% -33.0% 35.1%
出所:MSCI/IPD、ブルームバーグ、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、2021年第3四半期現在。不動産への直接投資はMSCI/REALPAC Canada Annual Property Index (unfrozen)、社債はICE BofA Canada Corporate Index、上場不動産はS&P/TSX Capped REIT Total Return Index、上場株式はS&P/TSX Composite Total Return Indexのデータを使用。これらの統計値は過去のリターン実績を使用し、リターンが正規分布に従うという前提で計算したものです。すべての統計値は、第3四半期までの12ヶ月間における手数料控除前のトータルリターンを用いて計算され、当リターンは手数料控除前の四半期ベースのトータルリターンを元に計算されています。指数に直接投資することはできません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

 

規模と流動性を備えた市場

また、機関投資家が取引を行うカナダの不動産市場の評価額は、約3,640億米ドルにのぼります8。過去3年間に年間350億米ドル~500億米ドルの取引が行われたカナダの不動産市場9は、規模と流動性の両方を備えており、投資家は効率が良いスムーズな取引を行うことが可能です。

カナダの不動産市場は緩やかに拡大

this chart shows the size of the Canadian real estate market relative to the rest of the world. Canada sits at 7th behind United States, Japan, United Kingdom, Germany, China and France.

出所:"Real Estate Market Size Report 20/21"、MSCI、2021年

さらにカナダ不動産市場の魅力を一段と高めているのが、世界第5位に輝くカナダの透明性の高さです10。透明性は効率的市場の運営に極めて重要であり、投資や事業活動を後押しすることに役立ちます。

グローバル不動産透明度インデックス・ランキング(2020年)
市場を1.00~5.00で評価(1が最も高い評価)

this chart shows the Global Real Estate Transparency Index for 2020. Canada is the 5th most transparent country in the world, ranking behind United Kingdom, United States, Australia and France.

出所:JLLリサーチ、2020年。同インデックスは99の国と地域における市場の定量的データや調査結果に基づいて算出されています。210個の測定項目を14の領域に分類した上で、上記6つのサブインデックスにグループ化して重み付けを行います。各市場には1.00~5.00のスコアが付与されます。全体的スコアに基づき、各市場には透明度「高」、透明度「中高」、透明度「中」、透明度「中低」、透明度「低」のいずれかが付与されます。 

 

カナダの不動産に「今」投資する理由

足元のキャップレートのスプレッドは参入に有利な水準

足元におけるカナダの商業不動産のキャップレートのスプレッドは過去と比べると拡大しており、債券市場が低迷する中で利回りを追求する投資家にとって、好ましい投資機会と言えるかもしれません。2021年第3四半期末現在のスプレッドは408ベーシスポイント(bps)であり、長期平均である397 bpsを上回っています(一般的に、スプレッドが拡大している場合はスプレッド縮小の余地があり、ひいては不動産の価値が上昇する余地があることを表します)11

カナダ:キャップレートの全国平均スプレッド
カナダ10年国債利回りに対するカナダ全商業不動産のキャップレートの全国平均スプレッド

This chart shows the Canadian commercial real estate, all properties average national cap rate over the Canadian 10-year government of Canada bond yield since 2004. While the spread has tightened since the start of the COVID-19 pandemic, it’s still well above the tightest spread experienced before the onset of the global financial crisis.

出所:CBRE EA、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、2021年第3四半期現在

カナダのプライベート商業不動産市場は、カナダの長期的な経済見通しと市場の有利な特長が相まって、成長、安定性、ポートフォリオの分散効果、そしてインカムゲインという一連の魅力的なメリットを投資家にもたらす可能性が高いと考えています。

 

  1. https://www.msci.com/research/2021-market-size-report
  2. https://www.cbre.us/-/media/cbre/countryunitedstates/us-research/major-reports/2021/scoring-tech-talent-media-folder/2021-scoring-tech-talent.pdf
  3. https://www.usnews.com/news/best-countries/articles/us-news-unveils-best-countries-rankings
  4. http://www.gsi-alliance.org/wp-content/uploads/2021/08/GSIR-20201.pdf
  5. MSCI/REALPAC Canada Quarterly Property Index (unfrozen)、手数料控除前、2021年第3四半期現在
  6. MSCI Annual Property Index (unfrozen)、2020年第4四半期現在
  7. MSCI/IPD、ブルームバーグ、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、2021年第3四半期現在
  8. https://www.msci.com/research/2021-market-size-report
  9. "National Real Estate Investment Summary"、CBRE、2021年第2四半期
  10. https://www.us.jll.com/en/trends-and-insights/research/global-real-estate-transparency-index/greti-global-rankings-and-methodology
  11. CBRE EA、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、2021年第3四半期現在

リスクと手数料については、以下をご覧ください。
https://www.manulifeim.com/institutional/jp/ja/jp-risks-and-fees-guide

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世界的なパンデミックなどの公衆衛生危機は、市場のボラティリティの大幅な上昇、証券取引の停止等の原因となり、ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界の経済活動に深刻な打撃を与えています。将来、発生する可能性のある公衆衛生危機、およびその他のエピデミックやパンデミックは、現時点では必ずしも予測可能ではない影響をグローバル経済に与える可能性があります。公衆衛生危機は、既存の政治的、社会的、経済的リスクを悪化させる恐れがあります。こうした事象はポートフォリオのパフォーマンスに悪影響を与え、投資に損失が生じる可能性があります。

投資には、元本割れなどのリスクが伴います。金融市場は変動しやすく、企業、産業、政治、規制、市場又は経済の変化に応じて乱高下することがあります。エマージング市場での投資に関しては、これらのリスクはより大きくなります。為替リスクとは、為替レートの変動がポートフォリオの投資の価値に悪影響を及ぼすことがあるというリスクです。

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