森林投資:独特な需給関係による材木および木製パネル価格の異例な急上昇

HNRGリサーチ・チーム

需要要因

新型コロナウイルス危機は、新規住宅建設および既存住宅の修理と改装の両方を含む住宅建設活動の大幅なリバウンドを引き起こしました。ロックダウン、学校閉鎖、在宅勤務への移行が加速したことに伴い、より自宅を中心としたライフスタイルに対応するための生活空間の拡張/再構築の必要性が高まりました。住宅建設活動の増加は、住宅ローン金利の低さと、連邦政府による新型コロナ補助金や失業保険の拡充からの収入押し上げによって支えられました。

供給要因 

材木および木製パネルの生産者が新型コロナウイルス危機の初期に生産を急激に抑制したことにより、サプライチェーンは枯渇しました。2020年後半に木材製品需要が力強く回復したものの、労働者を製材所に復帰させることが困難なため、需要の増加と価格上昇に対応して生産を増やす上で業界はハードルに直面しました。解雇された労働者は、職場での新型コロナに対する不安と失業保険の拡充により工場に戻ることに消極的であったため、製材所の労働力は不足したままとなっており、シフトの追加や生産加速の障害となっています。また、特に米国南部で顕著なトラックやトラック運転手の不足は、卸売業者や小売店、エンドユーザーのために十分な供給を再開するための更なる障害となっており、輸送コスト上昇の要因でもあります1

足下の材木および木製パネル市場においては製材所がタイトになっているため、この業界における超過利益は製材所運営業者に流れ込んでおり、現在の桁外れな収益性は原木のサプライヤーである森林所有者には一部しか共有されていません。しかし、この動向は地域間で均一ではなく、変化の過程にあります。米太平洋岸北西部では、地域の製材所の需要に比べて原木供給が比較的タイトなため、原木価格は上昇して当サイクルの高値圏にあります。西部の原木価格の上昇率は材木や木製パネルの価格上昇の加速ペースには達しておらず、昨年の大規模な山火事からの大量のサルベージ材によって一時的に原木供給が増加しているため、同地域の原木市場が軟化しています。私たちが管理する西部の森林物件では、2021年の年初来の計画を大きく上回って運営されており、堅調な市場は少なくとも今年末まで続くと予想しています。

米国南部では、材木および木製パネルセクターの価格と収益性の高さが原木価格に与える影響は、西部地域よりもはるかに限定的でした。製材の供給量と供給能力が良好であるため、原木価格の上昇は緩やかでした。製材所が生産を増やし、新たな生産設備が稼働を開始するにつれて、ここ数ヶ月で南部の原木需要は高まり、価格は上昇しています(長らく下落・横這いとなった後、2021年1-3月期に5%上昇)2

米国南部はまた、新規の生産設備に多額の設備投資を行っています。大手森林・木材製品調査コンサルティング会社であるForiskの北米製材所への投資に関する調査によると、発表された投資プロジェクトの約17億ドルが米国南部であり、2020年から2022年の間に4.5 BBFT以上の生産能力が追加されると見込んでいます3。この追加は、既存の製材所の生産能力を増強する形です(例: Interfor社はジョージア州のトーマストンおよびイートントンで100 MMBF近く、Vicksburg Forest Products社はミシシッピ州で80 MMBF、Pine Products Inc.社はバージニア州マーティンズビルで100 MMBF、Jasper Lumber社はアラバマ州ジャスパーで130 MMBFを追加)4。米国南部における製材所の新設も発表されており、West Fraser社はジョージア州ダドリー(190 MMBF)、Westervelt社はアラバマ州トーマスビル(250 MMBF)、Mission Forest Products社はミシシッピ州北部(250MMBF)、Biewer社はミシシッピ州ウィノナ(350MMBF)、Idaho Forest Group社はミシシッピ州ランバートン(250MMBF)、中でも顕著なのは、オーストリアのBinderholtz Group社がKlausner社の休眠中だったフロリダ州ライブオークの大型製材所(350 MMBF)とノースカロライナ州エンフィールド(175MMBF)を取得しました5。新たに拡張された生産設備が完全に人員配置されて稼働するにつれて、原木に対する同地域での需要が増加し、南部の原木価格を引き続き上昇させるものと予想されます。

材木および木製パネルの現在の価格状況は持続可能ではなく、今年後半のある時点で調整し、2022年も緩やかになると見込んでいます。建築業者や買い手がコストの増加や値ごろ感の低下に対処するにつれ、需要の増加は緩やかになると予想されます。また材木および木製パネルの供給は、生産設備の稼働と輸入の拡大につれて増加すると予想されます。これらの市場の動きにあわせて、需要が集中していた製材所から、原木所有者にも需要が移るはずです。特に新規設備が集中している米国南部において製材所の生産が増加するにつれて原木需要の強さは続き、原木価格の上昇と森林所有者のリターンを支えると予想されます。

  1. The Trucker.com (2020年10月8日) https://www.thetrucker.com/trucking-news/business/driver-shortage-tops-atris-2020-list-of-top-trucking-industry-issues-for-motor-carriers-insurance-makes-lists-for-first-time-since-2005
  2. Timber Mart-South, Q1 2021 (2021年4月4日時点) 
  3. Forisk Research Quarterly, Q1 2021 (2021年2月4日時点)
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