森林・農地投資:不透明な市場環境における底堅さ

HNRGリサーチ・チーム

新型コロナウイルスの感染拡大やそれが経済に及ぼしうる影響について不確実性の高い状況が続く中、安全資産の魅力度が高まっています。足元の新型コロナウイルス感染拡大のような金融システムへの予測不能なショックによって、森林・農地投資を含むリアルアセットの魅力―投資家のポートフォリオの耐性の強化やリターンの変動を抑制しうる―といった点が着目されています。

新型コロナウイルスの感染が中国からイランや韓国、日本、イタリア、米国など多くの国々へと拡大していく中、金融市場は激しい反応を示しました。2020年2月の最終週にS&P500は12%近く下落し、米国株式市場は2008年の世界金融危機時以来となる最大の週間下げ幅となりました1。 その後3月2日の週には米国10年債利回りは過去最低水準となりました2。新型コロナウイルスの感染拡大やそれが経済に及ぼしうる影響について不確実性の高い状況が続く中、安全資産の魅力度が高まっています。足元の新型コロナウイルス感染拡大のような金融システムへの予測不能なショックによって、森林・農地投資を含むリアルアセットの魅力―投資家のポートフォリオの耐性の強化やリターンの変動を抑制しうる―といった点が着目されています。

森林・農地投資は、長い投資実績と低中程度のリターン変動を有する長期運用資産であり、機関投資家には魅力的な分散効果をもたらします。

本レポートでは、外因性のショックによる金融市場のボラティリティが大きい時期に着目しながら、森林および農地へと投資したリターンと、上場株式や長期国債とを比較します。

上記図1には、森林・農地投資と株式の1994年から2019年の実績リターンを比較しています。森林と農地それぞれに50%ずつ同額を投資した場合の年次トータルリターン3(緑色棒グラフ)は26カ年中25年がプラスとなりましたが、米国株式(上場株式市場の代表であるS&P5004、青色折線グラフ)は大幅なマイナスおよび高いボラティリティを示しました。森林・農地投資を上場株式と比較すると、安定的かつ底堅いパフォーマンスだったと言えます。 1994年から2019年の間に上場株式市場の年間リターンがマイナスになった期間は、2000年から2002年、2008年、そして2018年の3回ありました(図1の灰色網掛け部分)。最初の期間の2000年から2002年においては、2000年のドットコムバブルの崩壊や米国同時多発テロを受け、S&P500は3年累積で-38%の下落となりました。2008年は、グローバル金融危機が引き金となりS&P500は-37%下落しました。2018年は、米連邦準備理事会(FRB)による複数回の利上げを含む金融政策の引き締めや、中国やその他貿易相手国との貿易紛争の悪化に伴う不透明感を受け、米国株式市場は小幅に下落しました。

図2では、金融市場および経済が混乱した前述の3期間における、米国株式(S&P500)と、森林・農地投資(それぞれ50%ずつ)、そして米長期国債5の年間リターンを比較しています。3期間全てにおいて、森林・農地投資はプラスのリターンを実現しました。

2000年から2002年の景気後退局面においては、森林・農地投資(それぞれ50%)は、主に農地価格の上昇によって年率平均2.2%のプラスとなり、S&P500の-14.5%と比較すると良好でした。金融市場と政治が混乱した同期間において、不確実性の高まりによって安全資産や低リスク資産を求める動きから、債券も平均13.3%と良好でした。

2008年、資金逃避により米長期国債は22.2%上昇した一方、S&P500は-37.0%下落しました。経済危機の中でも、債券ほどではありませんが、森林・農地投資は12.7%と魅力的なプラスのリターンを実現しました。2008年における森林・農地投資の主な要因は、農産物の世界貿易量増加に伴う農産物価格の上昇でした。

2018年、米国およびグローバル経済の鈍化に伴いS&P500は–4.4%下落した一方、金利上昇とイールドカーブのフラット化により米国10年債利回りは -0.1%下落しました。経済と金融政策の逆風にもかかわらず、森林・農地投資は5.0%と引き続きプラスのリターンを実現しました。米中貿易紛争の影響によって一部木材製品や農産物はネガティブな影響を受けましたが、木材製品および農産物全般では、森林および農地への分散投資の効果もあり、金融市場の混乱を乗り切ることが出来ました。

新型コロナウイルスの感染拡大のような不運なグローバルイベントは投資環境に予期せぬボラティリティを発生させます。私たちは森林・農地投資が、分散したポートフォリオを経済や金融市場へ影響を及ぼす外因性ショックから守り、ポートフォリオのリターン特性の安定化や底堅さの向上に貢献すると考えています。

  1. ウォール・ストリート・ジャーナル: https://www.wsj.com/articles/more-markets-head-toward-correction-territory-as-coronavirus-spooks-investors-11582864550?mod=article_inline&mod=article_inline(2020年2月28日)
  2. CNBC: https://www.cnbc.com/2020/03/06/10-year-treasury-yield-falls-below-0point83percent-as-coronavirus-rocks-markets.html (2020年3月6日)
  3. NCREIF Timberland and Farmland インデックス、2019年第4四半期時点
  4. S&P 500、Macrobond、2020 年2月28日時点
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